2026/10/26
「トイレで何度もいきんでいる」
「気づけば、数日うんちが出ていない」
高齢の猫にこうした様子が見られると、「歳のせいかな」「フードを変えればよくなるかな」と迷う飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
シニア猫の便秘には、水分不足や腎臓病、関節の痛みなどが関係していることがあります。また、便秘が長く続くと、腸が広がって便を押し出しにくくなる「巨大結腸症」につながる場合もあります。
今回は、シニア猫の便秘の原因と受診の目安、お薬やフードによる治療について解説します。
■目次
1.シニア猫が便秘になりやすい理由
2.便が出ないとき、いつ受診すればよい?
3.巨大結腸症とは?便秘との関係
4.便秘・巨大結腸症の検査と治療
5.家庭でできる便秘対策
6.まとめ
シニア猫が便秘になりやすい理由
便秘は、便が硬くなったり、腸の動きが弱まったりして、スムーズに排便できなくなる状態です。シニア猫では、いくつかの原因が重なっていることもあります。
<水分不足や腎臓病>
体の水分が不足すると便も硬くなります。特に慢性腎臓病では、尿とともに水分が失われやすく、水を飲んでいても補いきれずに脱水することがあります。
<筋力の低下や関節の痛み>
いきむ力が弱くなったり、腰や足の関節が痛んで排便の姿勢をとりにくくなったりすると、便を出しづらくなります。
<毛や便の通り道の問題>
飲み込んだ毛が便に混じり、排便しにくくなることがあります。また、腫瘍などで腸の通り道が狭くなっている場合もあるため、便秘を繰り返すときは原因の確認が必要です。
便が出ないとき、いつ受診すればよい?
受診の目安は、便が出ていない日数だけでなく、普段の排便間隔や体調もあわせて考えます。
いつもより排便が少し遅れていても、食欲や元気があり、苦しそうにいきんでいなければ、短時間、様子を確認できることもあります。ただし、丸2日ほど便が出ていない場合は、元気そうでも一度ご相談ください。便秘を繰り返している猫や、腎臓病で治療中の猫は、より早めの相談がおすすめです。
次のような様子があれば、日数を待たずに受診しましょう。
・何度もいきむのに便が出ない
・吐く、フードを食べない、元気がない
・排便時に鳴く、強く痛がる
・おなかが張っている
なお、トイレでいきんでいるときは、便秘なのか、尿が出ないのかを、見た目だけで区別するのが難しいことがあります。尿が出ていない、または数滴しか出ない場合は、尿の通り道が詰まっている可能性があるため、すぐに病院へ電話で連絡してください。
巨大結腸症とは?便秘との関係
巨大結腸症は、大腸の一部である結腸が大きく広がり、便を押し出す力が弱くなった状態です。
便が長くたまると、腸内で水分が吸収されて、さらに硬くなります。便を出せない状態が続くことで腸が広がり、ますます排便しづらくなる場合があります。一方で、もともとの腸の働きの異常が原因となり、便秘を繰り返す猫もいます。
すべての便秘が巨大結腸症になるわけではありません。ただ、腸の働きが大きく低下すると、お薬やフードだけでの管理が難しくなることがあるため、便秘を繰り返す段階で相談することが大切です。
便秘・巨大結腸症の検査と治療
治療前には、おなかを触る診察やレントゲン検査などで、便の量や腸の広がりを確認します。必要に応じて血液検査や尿検査、超音波検査を行い、脱水や腎臓病、腸の通り道の異常なども調べます。
治療は、便のたまり方や全身状態に合わせて、次の方法を組み合わせます。①~④の順に進めるとは限らず、硬い便が大量にたまっている場合は、水分補給とともに便を出す処置が必要になることもあります。
①水分不足を補う
脱水している場合は、まず水分を補うことが重要です。状態に応じて皮下点滴などを行い、脱水が強い場合には静脈からの点滴が必要になることもあります。点滴の方法や量は、腎臓や心臓の状態も踏まえて判断します。
②お薬で便の硬さと腸の動きを整える
「便をやわらかくするお薬」で排便しやすい硬さに調整します。腸の通り道が塞がっていないことを確認したうえで、「腸の動きを助けるお薬」を組み合わせる場合もあります。
便が出たあとも治療の継続が必要な猫がいるため、自己判断で中止せず、便の状態を見ながら獣医師と量や回数を調整しましょう。
③猫の状態に合うフードを選ぶ
食物繊維を調整したフードが排便を助けることがあります。ただし、繊維を増やせばよいとは限りません。腸の動きがかなり弱い猫では、便の量が増えることで、かえって出しづらくなる場合があります。そのため、消化しやすく、便の量を少なくするフードを選ぶこともあります。
腎臓病用の療法食を食べている場合は、便秘対策との両立が必要です。フードの種類を変える前に、獣医師に相談してください。
④たまった便を出す処置を行う
硬い便が大量にたまっている場合は、お薬だけでは出せず、浣腸や便を取り除く処置が必要になることがあります。猫の負担を減らすため、鎮静や麻酔を使う場合もあります。
お薬やフードなどによる治療を続けても排便が難しい場合には、手術を検討することもあります。
また、人用の下剤や浣腸には、猫に適さないものがあります。家庭では、自己判断で使用しないようにしましょう。
家庭でできる便秘対策
家庭では、水分をとりやすく、無理なくトイレに行ける環境を整えましょう。
<水飲み場を増やす>
よく過ごす場所の近くに、新鮮な水を用意します。
<ウェットフードを活用する>
ウェットフードは水分を多く含むため、水分補給に役立ちます。療法食を食べている場合は、ウェットタイプに変更できるか獣医師に相談しましょう。
<トイレを使いやすくする>
出入り口が低く、中で無理なく向きを変えられる広さのトイレを選びましょう。階段の上り下りをせずに行ける、静かな場所に置くことも大切です。
<便と体調を記録する>
排便した日、便の硬さや量、いきむ様子に加えて、食欲や嘔吐の有無も記録すると、治療の調整に役立ちます。
便秘とともに体重の減少や飲水量の変化がある場合も、受診時に伝えてください。
まとめ
シニア猫の便秘は、腎臓病による脱水や関節の痛みなどが関係していることがあります。原因を調べ、お薬やフード、水分補給を組み合わせて、排便しやすい状態を保つことが治療の基本です。
当院では、便秘だけでなく、腎臓の状態や体重、日々の様子も確認しながら、その猫に合う管理方法をご提案します。
小山市・結城市・野木町・間々田周辺で「便が硬くなった」「トイレでいきむ時間が増えた」と感じた飼い主様は、早めにご相談ください。
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