2026/04/13
愛犬に「くしゃみが止まらない」「片側だけ鼻血が出る」「鼻水に血が混じる」といった症状が見られると、不安に感じる飼い主様もいらっしゃるかと思います。こうした変化は、風邪や慢性鼻炎と思い、つい様子を見てしまいがちな症状でもあります。
しかし、特に中高齢の犬でこれらの症状が長く続く場合には、「鼻腔内腫瘍(鼻の腫瘍)」が隠れている可能性があります。
初期は気づきにくいものの、進行とともに状態が悪化することもあるため、早い段階で異変に気づき、適切な対応につなげていくことが大切です。
そこで今回は犬の鼻腔内腫瘍について、症状や診断方法、治療方法などを解説します。
■目次
1.鼻腔内腫瘍とは?
2.鼻腔内腫瘍のサイン|片側だけの鼻水・鼻血は要注意
3.診断にはCT検査が必要な理由|当院から専門施設へ紹介します
4.主な治療は放射線治療|手術との違いと選択肢
5.早期発見のために飼い主様ができるチェック
6.まとめ
鼻腔内腫瘍とは?
鼻腔内腫瘍は鼻の奥の空間に発生する腫瘍で、その多くは悪性です。
特に中高齢の犬に多くみられますが、外からは見えにくい部位にできるため、進行するまで気づきにくい傾向にあります。
また、鼻は構造が複雑で、周囲には骨や目など重要な組織が隣接しています。そのため、正確に状態を把握したり、適切な治療方針を立てたりするには、専門的な検査や設備が必要になります。
鼻腔内腫瘍のサイン|片側だけの鼻水・鼻血は要注意
初期には、「片方の鼻からだけ」鼻水が出たり、鼻づまりのような呼吸音が聞こえたりすることがあります。また、くしゃみが長期間続いたり、薬で一時的に良くなっても再発したりするケースも見られます。
さらに進行すると、片方の鼻から繰り返し鼻血が出たり、顔が腫れたりしてきます。ほかにも、流涙や眼球突出など、目の変化がみられることもあります。
また、鼻腔内腫瘍は慢性鼻炎と症状が似ていますが、「片側だけ見られる」「完全に治りきらない」「徐々に悪化していく」といった点は重要な見極めのポイントです。こうした特徴が見られる場合には、慎重な評価が必要になります。
診断にはCT検査が必要な理由|当院から専門施設へ紹介します
鼻の奥はレントゲン検査だけでは十分に評価できないことが多く、腫瘍の広がりや骨への影響を正確に把握するためにはCT検査が重要になります。そのためには、CTや専門的検査設備が整った大学病院などへの紹介が必要になります。
当院では安全性と精度を優先し、より整った環境での検査を推奨しています。そのため、基本的には当院で診察・初期評価を行ったうえで、二次診療施設へ責任をもってご紹介させていただきます。
主な治療は放射線治療|手術との違いと選択肢
鼻腔内腫瘍は、鼻の奥という複雑で繊細な構造に発生するため、外科手術で完全に取り切ることが難しいケースが多いとされています。そのため、腫瘍に直接アプローチできる放射線治療が主な選択肢となることが一般的です。
一方で外科手術は、目に見える範囲の腫瘍を取り除くことは可能ですが、周囲の重要な組織との関係から完全切除が難しく、体への負担も大きくなりやすいという特徴があります。こうした点から、鼻腔内腫瘍では手術単独よりも放射線治療が優先されることが多いとされています。なお、放射線治療は専用の設備が必要となるため、専門施設で実施することになります。
また、治療の目的は「完治」を目指すだけではなく、鼻血や呼吸のしづらさといった症状を和らげたり、生活の質(QOL)を保ったりすることも大切なポイントです。そのため、年齢や体調、腫瘍の進行度などを踏まえながら、どのような治療方針が適しているかを検討していきます。
余命については個体差が大きく、腫瘍の種類や進行度、治療の有無によっても大きく異なります。無治療の場合には比較的短期間で進行することもありますが、治療を行うことで症状の緩和や穏やかに過ごせる時間を延ばすことが期待できる場合もあります。そのため、早い段階で状態を把握し、適切な治療につなげていくことが重要です。
なお当院では、インフォームドコンセントを重視し、飼い主様にしっかりとご理解いただいたうえで、治療方針を一緒に検討していくことを大切にしています。必要に応じて、放射線治療などを行う専門施設へのご紹介も行っており、連携しながら治療を進めていきます。
また、積極的な治療に加え、症状を和らげるためのケアや、補助的治療として高濃度ビタミンC療法やがんワクチンなどについても、選択肢の一つとしてご紹介することが可能です。まずは現在の状態を把握することが大切ですので、気になる症状が見られた際はご相談ください。
早期発見のために飼い主様ができるチェック
日頃から愛犬の様子をよく観察することで、小さな異常にも気が付きやすくなり、早期発見につなげることができます。
早期に発見できれば治療の選択肢が広がる可能性があるため、以下のポイントをおさえながら健康チェックを行いましょう。
<チェックポイント>
・片側だけ鼻血が出ていないか
・くしゃみが数週間以上続いていないか
・鼻詰まりのような呼吸音がないか
・顔の左右差や腫れがないか
また、これらに当てはまらないケースであっても、「なにかいつもと違う」という状態が続く場合は、様子見をせず早めにご相談ください。
まとめ
犬の鼻の腫瘍は初期には鼻炎と区別がつきにくいものの、「片側の鼻血」「止まらないくしゃみ」「血の混じった鼻水」は腫瘍の重要なサインです。
なお、当院では地域のホームドクターとして丁寧な説明を行い、飼い主様の希望や犬の生活の質を大切にしながら一緒に治療方針を考えていくことを大切にしています。
また、必要に応じて専門施設と連携をとることで、CT検査や放射線治療など、高度医療へつなげることも可能です。そのため、気になる症状がある場合は、まずは診察にお越しいただき、ご相談ください。
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