2024/05/20
犬・猫を家族に迎える際には、その健康を守ることが飼い主の責任です。特に、犬・猫の健康を維持するためにはワクチン接種を行うことが非常に重要です。
しかし、ワクチンには多くの種類が存在し、どのワクチンを選べば良いのか迷う飼い主も少なくありません。
そのため、各種ワクチンの選択について不安や疑問がある場合は、獣医師に相談することをお勧めします。獣医師は犬・猫の年齢や健康状態、生活環境などを考慮して、最適なワクチンプランを提案してくれます。
今回は、犬・猫に必要なワクチンと種類、接種するタイミングについてご紹介します。
■目次
1.犬・猫のワクチンの種類と接種時期
2.犬・猫のワクチンの種類と接種時期
3.ワクチン接種の副作用と注意点
4.当院のワクチン接種の料金
5.まとめ
犬・猫のワクチンの種類と接種時期
<狂犬病ワクチン>
狂犬病は、全哺乳類に影響を与える致命的なウイルス性の疾患で、特に犬・猫が感染しやすいとされています。この病気は、感染した動物の唾液に含まれるウイルスが咬傷を介して他の動物や人間に伝播することで広がります。
一度症状が現れると、治療が行われない場合、ほぼ100%の致死率という非常に高い致命率を持っています。
<混合ワクチン>
混合ワクチンとは、複数の病気を一度に予防することができるワクチンで、「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の二つに分類されます。コアワクチンは、世界中で感染がみられる重度の疾患に対して予防効果があり、全ての犬・猫に推奨されます。
一方で、ノンコアワクチンは地域や犬・猫の生活環境に応じて選ばれ、飼い主と獣医師の相談の上で接種するかどうかを決めます。
コアワクチンとノンコアワクチンで予防できる感染症は以下が挙げられます。
【犬:コアワクチン】
<犬パルボウイルス>
腸や骨髄などの細胞を破壊する強力なウイルス感染症で、下記の症状を引き起こします。・発熱
・下痢
・嘔吐
・脱水 など
また、重症化すると命を落とす危険性もあります。
このウイルスは非常に強く、長時間生存し、消毒が難しいため感染が広がりやすいです。
<犬ジステンパーウイルス>
非常に感染力が高く、下記の犬風邪(ケンネルコフ)に似た症状を発症します。・発熱
・咳
・鼻汁
・下痢
・嘔吐 など
症状が重症化すると、神経系、消化器系、呼吸器系に影響が及び、歩行障害やけいれんが発生することもあります。
特に子犬では死亡率が高いため、注意が必要です。
<犬アデノウイルス1型感染症(犬伝染性肝炎)>
この感染症は肝臓に重大な影響を及ぼし、下記の症状を引き起こします。・発熱
・食欲不振
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・黄疸(特徴的な症状) など
非常に感染力が強く、感染した犬の尿や糞便、唾液を介して広がるため、警戒が必要です。
特に子犬は感染リスクが高く、症状が急激に進行することで突然死に至ることもあります。
<犬アデノウイルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)>
この感染症は、下記などのケンネルコフと呼ばれる症状がみられます。・乾いた咳
・鼻水
・発熱 など
また、他の感染症と同時に感染すると、肺炎などの重篤な症状を引き起こすことがあります。
【犬:ノンコアワクチン】
<パラインフルエンザ>
アデノウイルス2型感染症と同様にケンネルコフと呼ばれる症状が現れます。この感染症は感染力が非常に高く、犬同士が直接接触したり、感染した犬が触れた物品を介して他の犬に感染したりすることがあります。
<犬コロナウイルス感染症>
犬の腸管に感染し、下記の症状を引き起こします。・発熱
・下痢
・嘔吐
・食欲不振 など
特に子犬や免疫力が低下している犬では、他の感染症との合併があると症状が重篤化するリスクが高まります。
<犬レプトスピラ感染症>
レプトスピラ菌による感染症で、人獣共通感染症(ズーノーシス)の一種です。野生動物や家畜が排泄する尿に含まれるレプトスピラ菌によって引き起こされます。この感染症には下記の症状がみられます。
・発熱
・食欲不振
・嘔吐
・下痢
・筋肉痛
・黄疸 など
重症化すると臓器がダメージを受け、最悪の場合は命を落とすこともあります。
【猫:コアワクチン】
<猫ウイルス性鼻気管炎>
猫ヘルペスウイルスにより感染し、特に子猫が感染しやすい病気です。このウイルスに感染すると下記の「猫風邪」と呼ばれる症状がみられます。
・食欲不振
・発熱
・くしゃみ
・鼻水
・目やに など
<猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)>
感染力が非常に強いため、特に子猫は重症化しやすく、命を落とす可能性もあります。また、下記の症状がみられます。
・発熱
・食欲不振
・激しい嘔吐
・脱水症状
・下痢(場合によっては血便を伴う) など
<猫カリシウイルス>
鼻気管炎と似た症状に加えて、口内や舌に水疱や潰瘍が現れます。また、猫ウイルス性鼻気管炎や猫クラミジア感染症と同時に感染することもあります。
【猫:ノンコアワクチン】
<猫白血病ウイルス感染症>
猫白血病ウイルスは、感染した猫との接触や母猫から子猫への母子感染を通じて感染します。そのため、室内飼育で他の猫との接触がない猫では感染リスクは低くなります。また、感染すると下記の症状が現れることがあります。
・元気がなくなる
・食欲不振
・貧血
・リンパ節の腫れ など
<猫クラミジア感染症>
猫ウイルス性鼻気管炎や猫カリシウイルス感染症と同じく、「猫風邪」と呼ばれる下記の症状が現れます。・結膜炎
・鼻水
・くしゃみ
・咳 など
特に子猫での発症が多く、初期症状は主に結膜炎などの眼の症状から始まることが多いです。
混合ワクチンには、「コアワクチンのみのもの」「ノンコアワクチンのみのもの」または「コアワクチンとノンコアワクチンを組み合わせたもの」など、さまざまな種類があります。
適切なワクチンは、犬・猫の年齢や飼育環境によって異なるため、どのワクチンを接種するかは獣医師と相談することが重要です。
ワクチン接種のスケジュール
ワクチン接種のスケジュールは、犬・猫の種類、年齢、健康状態によって異なります。
<狂犬病ワクチン>
犬は狂犬病ワクチンは法律によって接種時期が定められているため、以下のスケジュールを守って忘れずに接種しましょう。
・生後91日以上
・飼い始めてから30日以内
・次の年度からは、毎年4月から6月の間に年に1回接種
<混合ワクチン>
混合ワクチンの接種で最も重要な時期は、特に免疫力が弱い子犬・子猫の時期です。
生まれたばかりの子犬・子猫は、母猫から受け継いだ母子免疫があり、それによって初期の危険な病気への抗体が作られます。しかし、離乳後にはこれらの抗体が徐々に失われるため、混合ワクチンによる接種で感染症からの保護を強化することが重要です。
子犬・子猫のワクチン接種は、主に以下のようなスケジュールで接種が行われます。
<1回目ワクチン接種>
生後2ヵ月
<2回目ワクチン接種>
生後3ヵ月
<3回目ワクチン接種>
生後4ヵ月
その後、毎年1回の追加接種が推奨されます。
また、飼育環境によって、ワクチン接種のスケジュールは異なることがあります。例えば、1回目のワクチン接種が生後1ヶ月から始まり、合計で4回接種されることもあれば、生後3ヶ月から始めて合計2回接種になることもあります。
獣医師は、犬・猫の「健康状態」「年齢」「生活環境」を考慮して、適切なワクチン接種スケジュールを提案してくれるため、獣医師と相談しながらワクチンの接種計画を決めていくことが大切です。
また、過去に副作用があった場合や特定の健康問題がある場合は、その情報を獣医師に伝えることが重要です。
ワクチン接種の副作用と注意点
ワクチン接種後には、下記のような一時的な副作用がみられることがありますが、通常は数日内に自然と改善します。
・接種部位の腫れや痛み
・発熱
・元気がない など
しかし、非常に稀ですが、アレルギー反応やより重大な副作用が発生する可能性もあります。そのため、ワクチン接種後に何か異常を感じた場合は、すぐに獣医師に相談することが重要です。早期に対処することで、犬・猫の健康を守ることができます。
当院では、上記の副作用や注意点の観点からワクチン接種のタイミングを午前中にすることをおすすめしております。
当院のワクチン接種の料金
<犬>
・5種:6,160円・6種:6,600円
・8種:8,360円
・10種:8,800円
・レプトスピラ単味:3,300円
<猫>
・3種:4,950円・4種:6,160円
・5種:7,150円
当院の予防医療の料金表はこちらから
まとめ
ワクチン接種は感染症を予防し、病気の重篤化を防ぐ有効な方法です。
そのため、ワクチンの接種時期をしっかりと守り、積極的に接種することを推奨します。
ワクチン接種について不明な点がある場合は、お気軽に当院にご相談ください。
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