2026/06/15
「最近、愛犬が耳をよくかいている」
「耳から嫌なにおいがする」
「治療したのに、また外耳炎になってしまった」
このような症状にお悩みの飼い主様も多いのではないでしょうか。
犬の外耳炎は動物病院でもよく見られる病気の一つです。また、一度治療して改善しても、しばらくすると再発してしまうケースも少なくありません。
特に梅雨から夏にかけては湿度が高くなるため、耳の中が蒸れやすくなります。その結果、細菌や酵母菌が増殖しやすくなり、外耳炎が悪化したり再発したりする傾向があります。
また、外耳炎を繰り返す背景には、耳の環境だけではなく、アレルギー体質や皮膚疾患などが関係している場合もあります。
そのため、「薬を使えば治る病気」と考えるのではなく、再発の原因まで含めて考えることが大切です。
今回は犬の外耳炎について、外耳炎を繰り返す原因や治療薬の選択肢、ご自宅でできる予防方法などを解説します。
■目次
1.犬の外耳炎ってどんな病気?|よくある症状と特徴
2.なぜ繰り返すの?|梅雨から夏に悪化しやすい原因
3.外耳炎は自然に治る?|受診したほうがよいサイン
4.外耳炎の検査方法・治療方法
5.外耳炎を繰り返さないために|おうちでできる予防とケア
6.まとめ
犬の外耳炎ってどんな病気?|よくある症状と特徴
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの「外耳」に炎症が起こる病気です。
犬では非常によく見られる病気で、軽度のうちは気づきにくい場合もあります。
外耳炎になると、以下のような症状が表れます。
・耳を頻繁にかく
・頭を何度も振る
・耳の中が赤くなっている
・耳垢が増える
・耳から強いにおいがする
・耳を触られるのを嫌がる
初期段階では「少し耳を気にしているだけ」と感じる場合もあります。しかし、症状が進行すると強いかゆみや痛みを伴い、生活の質にも影響を及ぼします。
また、耳の形状によって発症しやすさが異なる点も特徴です。
例えば、以下のような垂れ耳の犬種は耳の中が蒸れやすく、外耳炎のリスクが高い傾向があります。
・コッカー・スパニエル
・ゴールデン・レトリーバー
・ラブラドール・レトリーバー
さらに、耳毛が多い犬種も通気性が悪くなりやすいため注意が必要です。
外耳炎を長期間繰り返していると、耳道が厚くなったり狭くなったりする場合があります。こうした状態になると薬が耳の奥まで届きにくくなり、治療が長引く原因になることもあります。
なぜ繰り返すの?|梅雨から夏に悪化しやすい原因
「外耳炎は治療すると良くなるのに、また再発してしまう」といったお悩みを抱える飼い主様は少なくありません。
その背景には、以下のように複数の原因が関係している場合があります。
<湿気による細菌やマラセチアの増殖>
梅雨から夏にかけては湿度が高くなります。
耳の中はもともと閉鎖的な環境ですが、湿気が加わることで細菌やマラセチアと呼ばれる酵母菌が増殖しやすくなります。
これらの微生物が増えると炎症が悪化し、外耳炎が再発する原因になります。
<シャンプーや水遊びによる影響>
シャンプーや水遊びの後に耳の中へ水分が残ることもあります。
耳の中が湿った状態のままになると、細菌やマラセチアが繁殖しやすい環境が作られてしまいます。
そのため、シャンプー後や水遊び後は耳の状態にも注意が必要です。
<アレルギーやアトピー性皮膚炎>
外耳炎を何度も繰り返す犬では、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎が関係しているケースもあります。
耳の皮膚は全身の皮膚とつながっています。そのため、皮膚トラブルの一症状として耳の炎症が表れることも珍しくありません。
特に皮膚のかゆみや赤みを伴う場合は、耳だけでなく全身の状態も確認する必要があります。
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<耳掃除のしすぎ>
耳を清潔に保とうとして頻繁に耳掃除を行うと、耳の皮膚を傷つけてしまう場合があります。
その結果、かえって炎症が悪化し、外耳炎を繰り返しやすくなることがあります。
耳掃除は回数が多ければ良いわけではありません。犬によって適切な頻度やケア方法が異なるため、獣医師に相談しましょう。
<自己判断による治療の中断>
外耳炎の症状が改善したように見えても、耳の中には炎症が残っている場合があります。
その段階で治療を中断すると、残っていた細菌やマラセチアが再び増殖し、症状がぶり返してしまうことがあります。
外耳炎は見た目だけで完治を判断できない病気です。そのため、獣医師の指示に従って治療を継続することが大切です。
外耳炎は自然に治る?|受診したほうがよいサイン
耳垢が少し増えていたり、耳を気にしていたりすると、「もう少し様子を見ても大丈夫かな」と考える飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、見た目からでは軽い耳の汚れと外耳炎を見分けるのは簡単ではありません。様子を見ている間に症状が進行し、治療が長引いてしまうケースもあります。
特に以下のような症状が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。
・耳の赤みが強い
・黒っぽい耳垢が増えている
・強いにおいがする
・耳を触ると痛がる
・頭を頻繁に振る
・耳を触らせてくれない
また、繰り返す外耳炎では耳の奥まで炎症が広がっている場合もあります。
さらに、慢性化すると耳道が狭くなり、点耳薬が入りにくくなることもあります。その結果、治療の難易度が高くなる可能性があります。
なお、他院で治療を続けていたものの改善が乏しく、セカンドオピニオンとしてご相談いただくケースもあります。
そのような場合は、これまでの治療内容を確認しながら、再発の原因を改めて見直していきます。
外耳炎は早期発見・早期治療が大切です。「いつもの外耳炎だから」と自己判断せず、気になる症状がある場合は早めに動物病院へ相談しましょう。
外耳炎の検査方法・治療方法
外耳炎の治療では、まず原因を特定することが大切です。
外耳炎と一言でいっても、細菌が関係している場合もあれば、マラセチアが増殖している場合もあります。また、アレルギーや皮膚疾患が背景に隠れているケースもあります。
そのため、症状だけを見て治療するのではなく、検査で耳の状態を詳しく調べながら治療方針を決定していきます。
<検査方法>
外耳炎の診断では、まず耳の中を観察します。そのうえで耳垢を採取し、顕微鏡で確認する耳垢検査を行います。
耳垢検査では、以下を確認できます。
・細菌が増えていないか
・マラセチアが増殖していないか
・炎症がどの程度起きているか
検査結果をもとに、それぞれの犬に適した治療法を選択していきます。
<一般的な外耳炎の治療方法>
外耳炎の治療では、耳洗浄や点耳薬を中心に行います。
耳の中に汚れや耳垢が多くたまっている場合は、まず耳洗浄で環境を整えます。その後、炎症や感染の状態に応じて点耳薬を使用します。
また、炎症が強い場合や耳の奥まで病変が広がっている場合には、飲み薬を併用することもあります。
外耳炎は耳の状態や原因、性格などを考慮しながら、その子に合った治療方法を選択することが重要です。
<新しい治療の選択肢|長期間効果が持続する点耳薬>
近年では、長期間効果が持続するタイプの点耳薬が登場しています。
代表的な薬として、以下があります。
・ネプトラ
・オスルニア
これらの薬は、従来のように毎日点耳する必要がなく、少ない投薬回数で治療できる点が特徴です。
外耳炎の治療では、ご自宅で毎日点耳を続ける必要があるケースも少なくありません。
しかし、「耳を触られるのを嫌がる」「点耳のたびに逃げてしまう」「薬を入れるのが難しい」といったお悩みを抱える飼い主様も多くいらっしゃいます。
また、犬にとっても毎日の点耳がストレスになる場合があります。
長期間効果が持続する点耳薬は、こうした負担を軽減できる可能性があります。
ほかにも、通院回数や投薬回数を減らせるケースもあるため、飼い主様と愛犬の双方にとってメリットのある選択肢となっています。
ただし、すべての外耳炎に適応できるわけではありません。耳の状態や炎症の程度によって適した治療法は異なります。
そのため、獣医師と相談しながら治療方法を選択することが大切です。
なお、当院では治療内容や使用する薬の特徴について丁寧にご説明し、飼い主様にご理解・ご納得いただいたうえで治療を進めるよう心がけています。
外耳炎を繰り返さないために|おうちでできる予防とケア
外耳炎は治療によって改善しても、再発してしまう場合があります。
そのため、日頃から耳の状態をチェックし、再発を予防することも大切です。
まずは、耳の変化を観察する習慣をつけましょう。
チェックしていただきたいポイントは、以下の通りです。
・耳の赤み
・耳垢の量や色
・耳のにおい
これらの変化に早く気づければ、症状が悪化する前に受診できる可能性が高まります。
また、外耳炎の再発を防ぐためには、日頃の生活の中で耳や皮膚の状態を適切に管理することが大切です。ここでは、ご家庭で意識していただきたい予防やケアのポイントをご紹介します。
<シャンプー後や雨の日のケア>
シャンプー後や雨の日の散歩後は耳の中が蒸れやすくなります。そのため、水分が残らないように注意しましょう。
<耳掃除のしすぎに注意>
前述したように、耳を気にするあまり頻繁に耳掃除を行うのはおすすめできません。過度な耳掃除は耳の皮膚を傷つけたり、炎症を悪化させたりする原因になるためです。適切な耳掃除の頻度は犬によって異なるため、自己流で行うのではなく、動物病院で愛犬に合ったケア方法を確認すると安心です。
<皮膚の健康管理も大切>
アレルギーやアトピー性皮膚炎などが関係している場合は、皮膚の管理も重要になります。耳だけではなく全身の皮膚状態を整えることで、外耳炎が安定するケースもあります。
ご自宅では、獣医師の指導のもとで定期的なシャンプーや保湿ケアを行い、皮膚を清潔で健康な状態に保つことが大切です。また、食事管理やアレルゲン対策が必要になる場合もあるため、愛犬の体質に合わせたケアを継続していきましょう。
なお、当院併設のトリミング施設では、オゾンシャワーやマイクロバブルを導入しています。
皮膚や被毛を清潔に保つサポートを行いながら、耳や皮膚の状態を確認し、外耳炎や皮膚トラブルの早期発見につなげています。
当院のトリミングについてより詳しく知りたい方はこちら
犬や猫のトリミングの基本についてより詳しく知りたい方はこちら
まとめ
犬の外耳炎は、湿気による耳の蒸れだけではなく、細菌やマラセチアの増殖、アレルギー体質、皮膚疾患など、さまざまな要因が関係して発症します。
特に梅雨から夏にかけては外耳炎が悪化しやすいため、耳の赤みやにおい、耳垢の増加などの変化に注意することが大切です。
また、外耳炎を繰り返している場合は、単に薬で症状を抑えるだけではなく、再発の原因を見つけて対策していく必要があります。
近年では、ネプトラやオスルニアといった長期間効果が持続する点耳薬も登場し、ご自宅での投薬負担や愛犬のストレスを軽減できる選択肢が増えています。
愛犬と飼い主様の負担を少しでも減らしながら、無理なく治療を続けていくことが、外耳炎と上手に付き合うためのポイントです。
なお、当院では耳垢検査による原因の確認から治療方法のご提案、再発予防のためのケアまで、飼い主様にしっかりとご説明しながら診療を行っています。地域のホームドクターとして、愛犬と飼い主様に寄り添った診療を心がけておりますので、気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください。
栃木県小山市
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