犬や猫の血尿が治らないときは要注意|膀胱腫瘍の可能性を獣医師が解説 - 小山レリーフ動物病院|栃木県小山市城東で診療を行う動物病院

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「血尿がなかなか治らない」「薬をやめるとまた出てしまう」といった変化に、不安を感じている飼い主様も多いのではないでしょうか。

犬や猫の血尿は膀胱炎によるものが多い一方で、症状が長引いたり再発を繰り返したりする場合は、別の原因も視野に入れて考える必要があります。

とくに注意したいのが、膀胱腫瘍(移行上皮癌)です。膀胱炎と症状がよく似ているため見分けが難しく、気づかれにくい傾向があります。そのため、漫然と抗生剤を続けるのではなく、セカンドオピニオンによって診断の見直しをすることも重要です。

そこで今回は、犬や猫の血尿が続く場合に考えたい膀胱腫瘍について、特徴や検査、治療の考え方などを解説します。



■目次
1.なぜ見逃される?膀胱腫瘍は膀胱炎と症状が似ている
2.【犬に多い】膀胱腫瘍の特徴と注意したい犬種
3.【猫の場合】頻度は低いが“治らない血尿”は要注意
4.診断方法
5.治療方法
6.セカンドオピニオンという選択|迷ったときの一歩
7.まとめ


なぜ見逃される?膀胱腫瘍は膀胱炎と症状が似ている

膀胱腫瘍(移行上皮癌)は、血尿や頻尿など、膀胱炎とほぼ同じ症状が表れます。そのため、初期段階では区別が難しく、「膀胱炎が長引いている」と判断されてしまうケースも少なくありません。

また、抗生剤の使用によって一時的に症状が軽くなったり、血尿が落ち着いたりする場合もあります。このような経過をたどると「治った」と感じやすく、その後に再発しても「またいつもの膀胱炎だろう」と他の原因の可能性を見過ごしてしまうことがあります。

そのため、もし改善と再発を繰り返している場合は注意が必要です。単なる膀胱炎として対応を続けるのではなく、腫瘍の可能性も含めて改めて詳しく検査を行うタイミングといえるでしょう。


【犬に多い】膀胱腫瘍の特徴と注意したい犬種

膀胱腫瘍は、猫よりも犬に多く見られる病気です。犬の膀胱腫瘍の多くは悪性であり、なかでも移行上皮癌が大半を占めます。進行すると周囲の組織へ広がったり、排尿が困難になったりすることもあるため、早い段階で気づくことが重要です。

また、オスよりもメスに多く発生する傾向があり、特定の犬種では発症リスクが高いことが知られています。

<膀胱腫瘍の好発犬種>
・シェットランド・シープドッグ
・スコティッシュ・テリア
・ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
・ビーグル


さらに、7歳以上のシニア期で発症しやすい傾向があります。そのため、「血尿が続く」「トイレの回数が増えた」といった変化が見られた場合には、年齢や犬種も踏まえて慎重に状態を見極めることが大切です。


【猫の場合】頻度は低いが“治らない血尿”は要注意

猫では膀胱腫瘍の発生頻度は比較的低いとされています。ただし、リスクがまったくないわけではありません。

特にシニア期の猫で血尿が長引いている場合や、膀胱炎として治療を受けているにもかかわらず改善しない場合には、注意が必要です。

また、猫は膀胱炎自体が多い動物であるため、「いつもの膀胱炎」と考えてしまいやすい傾向があります。そのようなときでも、経過に応じて再評価を行ったり、別の可能性を検討したりする視点を持つことが大切です。


診断方法

膀胱腫瘍の診断では、まずエコー検査が重要な役割を担います。この検査では、膀胱内に腫瘤があるかどうかを確認することで、膀胱炎との違いを見極める手がかりになります。

また、犬の場合は尿を用いたBRAF遺伝子検査によって、腫瘍の可能性を調べることも可能です。この検査は体への負担が少なく、痛みを伴いにくい点が特徴です。

膀胱炎の治療が長引いている場合は、「今の診断が適切か」を見直すタイミングといえます。かかりつけ医に相談したり、別の視点で診察や検査を受けたりすることで、より適切な診断につながる可能性があります。


治療方法

膀胱炎と膀胱腫瘍では、原因が異なるため治療方法も大きく変わります。そのため、症状だけで判断せず、適切な診断に基づいて治療方針を決めることが重要です。

<膀胱炎の場合>
細菌感染が原因となる場合は、抗生剤の投与を中心に治療を行います。あわせて、水分摂取量を増やしたり、排尿を促したりしながら膀胱内の環境を整えていきます。また、再発を繰り返すケースでは、生活環境や体質の見直しを行ったり、原因となる要因を一つずつ確認したりすることも大切です。
なお、原因に応じて療法食の使用を検討する場合もあります。

<膀胱腫瘍の場合>
抗生剤では改善が見込めないため、腫瘍に対する治療が必要となります。治療には、腫瘍の位置や広がり、犬や猫の全身状態に応じて、外科的切除を検討したり、内科的治療として抗がん剤や消炎鎮痛剤を使用したりする方法があります。
また、進行状況によっては、排尿時の負担を軽減するための緩和ケアを中心に行うこともあります。

なお、当院では治りにくい膀胱炎に対しても腫瘍の可能性を視野に入れながら評価を行い、必要に応じて検査内容を見直します。診断結果をもとに、外科的治療や内科的治療、症状の緩和を目的としたケアなど、さまざまな選択肢を検討します。

また、治療方針の決定においてはインフォームドコンセントを大切にしています。飼い主様のご希望や犬や猫の生活の質を踏まえながら、どのような治療が適しているのかを一緒に考えていきます。

さらに、安全面や設備の観点から専門的な対応が望ましい場合には、専門病院への紹介も含めてご提案します。そのほか、補助的な選択肢として高濃度ビタミンC療法やがんワクチンなどを検討するケースもありますが、いずれも状態に応じて慎重に判断していきます。


セカンドオピニオンという選択|迷ったときの一歩

「このままの治療でよいのか」と感じたとき、そのまま様子を見るのではなく、前述したように診断を見直すという選択も大切です。

膀胱腫瘍は膀胱炎と区別がつきにくく、見逃されやすい特徴があります。そのため、別の視点から診察を受けることで、新たな情報が得られる場合もあります。

なお、当院ではセカンドオピニオンとしてのご相談にも対応しています。血尿が長引いている、再発を繰り返しているといった場合には、不安を抱えたままにせず、一度ご相談ください。


まとめ

犬や猫の血尿は比較的よく見られる症状ですが、なかなか改善しない場合には注意が必要です。膀胱炎だけでなく、膀胱腫瘍の可能性も含めて考えることが重要になります。

また、早い段階で原因を見極めることで、治療の選択肢が広がったり、体への負担を抑えた対応につながったりします。

なお、当院では治りにくい膀胱炎に対しても腫瘍の可能性を視野に入れ、丁寧に診断を進めています。セカンドオピニオンのご相談にも対応しておりますので、気になる症状が続く場合は、まずは診察にお越しいただき、お気軽にご相談ください。


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