2026/03/06
愛犬や愛猫の体をなでているとき、小さなしこりに気づき「腫瘍かもしれない」と不安になったことはありませんか?さらに「検査は痛いのではないか」「麻酔をかけると体に負担がかかるのではないか」と心配が重なり、受診をためらう飼い主様もいらっしゃいます。
しかし、犬や猫の腫瘍検査は、いきなり大がかりな検査を行うわけではありません。体への負担をできるだけ抑えながら、その子の状態にあった検査を選択、実施していきます。
そこで今回は、犬や猫の腫瘍検査の全体像と具体的なステップなどを解説します。

■目次
1.腫瘍の正体を知るための「検査の全体像」
2.STEP1|まずはここから「細胞診(針吸引)」とは?
3.STEP2|広がりを調べる「画像検査」(レントゲン・エコー)
4.STEP3|さらに詳しく調べる場合(CT・MRI・組織生検)
5.検査費用や期間の目安|どのくらいかかるの?
6.まとめ
腫瘍の正体を知るための「検査の全体像」
まずお伝えしたいのは、腫瘍の検査は「すぐに治療を始めるため」だけに行うものではない、という点です。検査の目的は、今後どう向き合っていくかを判断するための大切な情報を集めることにあります。
また、腫瘍には良性と悪性があり、見た目や触ったときの感触だけで見分けることはできません。小さくても悪性の可能性があり、長いあいだ大きさが変わっていなくても、詳しく調べたほうがよいケースもあります。そのため、検査で客観的な情報を集めたうえで、状況を整理し、適切な治療方針を考えていくことが大切です。
腫瘍検査で明らかにしていく主なポイントは以下の通りです。
・良性か悪性かの可能性
・腫瘍の種類は何か
・体のどこまで広がっているか
・すぐに治療が必要か、経過観察が可能か
このように段階的に評価することで「手術を行うのか」「内科的治療を選ぶのか」「まずは様子を見るのか」といった選択肢を具体的に検討できます。
なお、当院では完治のみを唯一の目標とはしていません。積極的治療を選んだり、緩和ケアを中心に考えたり、専門病院での治療を検討したりしながら、その子と飼い主様にとって最適な方法を一緒に考えていきます。
STEP1|まずはここから「細胞診(針吸引)」とは?
細胞診(針吸引)とは、しこりに細い針を刺し、内部の細胞を少量採取して顕微鏡で確認する検査です。
細胞診の特徴は以下の通りです。
・細い針を使用する
・多くの場合、麻酔を使わずに実施できる
・検査時間は短時間で終わる
・採血に近い感覚で体への負担が比較的少ない
ただし、すべての腫瘍で確定診断が得られるわけではありません。しかし、「悪性の可能性が高い」「炎症の疑いが強い」といった方向性をつかむうえで非常に重要な検査です。ここで得られた情報が、次の検査や治療方針を決める基盤になります。
また、検査前には痛みの程度やリスクについて丁寧にご説明します。愛犬や愛猫の性格や体調に配慮しながら、安全性を第一に進めます。
STEP2|広がりを調べる「画像検査」(レントゲン・エコー)
細胞診の結果や身体検査の内容を踏まえ、必要に応じて画像検査を行います。代表的なのがレントゲン検査とエコー(超音波)検査です。
画像検査の目的は、腫瘍の広がりを確認することです。具体的には以下のような点を評価します。
・腫瘍の大きさや正確な位置
・周囲の臓器への影響
・肺や腹部臓器への転移の有無
・手術が可能かどうかの判断材料
レントゲンやエコーは、基本的に麻酔を必要とせず、痛みもほとんどありません。検査時間も比較的短く、愛犬や愛猫への負担を抑えながら実施できます。
なお、当院ではこれらの画像検査を院内で対応できる体制を整えています。そのため、検査から評価までをスムーズに行い、早期に次の方針を検討できます。
STEP3|さらに詳しく調べる場合(CT・MRI・組織生検)
より詳細な情報が必要な場合には、精密検査へ進みます。主な方法は以下の通りです。
・CT検査
・MRI検査
・組織生検(病理検査)
CTやMRIは、腫瘍の広がりや周囲組織との関係を立体的に把握するために重要な検査です。当院での診察や初期検査の結果、これらの高度画像検査が必要と判断した時点で、適切なタイミングで二次診療施設へご紹介いたします。
組織生検は、しこりの一部または全体を採取し、病理検査として詳しく調べる方法です。細胞診よりも多くの情報が得られ、腫瘍の種類や悪性度をより正確に把握できます。一般的には全身麻酔が必要となるため、事前に全身状態を慎重に評価します。
なお、治療の選択肢は以下のように幅広くあります。
・手術
・抗がん剤治療
・放射線治療
・緩和ケア
・高濃度ビタミンC療法やがんワクチンなどの補助的治療
なお、鼻腔内腫瘍のように放射線治療が必要なケースや、肝臓など出血リスクが高く輸血設備を要する手術、猫の上顎など解剖学的に難しい部位では、高度な設備と専門的な管理が求められます。そのような場合も、安全性を最優先に考え、連携施設と協力しながら診断や治療を進めてまいります。当院が責任をもって紹介および情報共有を行い、飼い主様と愛犬や愛猫が安心して検査・治療に臨める体制を整えます。
どの方法を選ぶかは、腫瘍の種類や進行度だけでなく、犬や猫の年齢や全身状態、そして飼い主様のご希望によっても変わります。丁寧に話し合いながら方向性を決めていきます。
検査費用や期間の目安|どのくらいかかるの?
腫瘍検査の費用は、選択する検査内容や段階によって異なります。すべてを一度に実施するのではなく、必要性を見極めながら進めるため、段階的に費用がかかるケースが一般的です。
一般的な検査費用の目安は、以下の通りです。
・細胞診、レントゲン検査、超音波検査:数千円~数万円程度
・組織生検(麻酔や病理検査を含む):数万円~十数万円程度
ただし、検査部位や麻酔の有無、動物の大きさ、追加検査の必要性などによって費用は大きく変動します。そのため、あくまで目安としてお考えください。
また、検査ごとの期間の目安は次の通りです。
・細胞診や画像検査:当日から数日以内に結果説明が可能なことが多い
・病理検査:外部機関での解析が必要なため、数日から1週間ほどかかる
当院では、検査を進める前に、想定される費用や期間についてできる限り具体的にご説明します。内容や段階によって金額は変わるため、ご不安な点や検査内容に関するご希望があれば、事前に遠慮なくご相談ください。飼い主様が納得したうえで進められるよう、丁寧にお話ししながら方針を決めていきます。
まとめ
犬や猫の腫瘍検査は、現在の状態を正確に把握し、これからの選択肢を整理するための大切なプロセスです。麻酔を使わずにできる検査も多く、段階的に進められるため、過度に恐れる必要はありません。
そして、治療の形は一つではありません。積極的に根治を目指したり、生活の質を重視した緩和ケアを選んだり、専門病院での高度治療を検討したりしながら、その子に合った道を考えていきます。
愛犬や愛猫の体にしこりを見つけたときには、まずは診察にお越しください。当院では飼い主様と十分に話し合いながら、最適な検査と治療方針をご提案いたします。
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