犬・猫の下痢が続く原因は?慢性腸症の検査と食事療法を解説 - 小山レリーフ動物病院|栃木県小山市城東で診療を行う動物病院

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「愛犬の下痢がなかなか治らない」「愛猫の便がよくなったと思ったら、また軟らかくなってしまう」とお悩みではありませんか。

犬や猫の下痢は、食事の変化や一時的な胃腸の不調などでも表れます。しかし、下痢が長く続いたり、一度よくなっても何度も繰り返したりする場合には「慢性腸症」という病気が関係している可能性があります。

慢性腸症は、長期間にわたって下痢や嘔吐などの症状を繰り返す病気の総称です。決して特殊な病気ではなく、当院でも長引く下痢や嘔吐についてご相談いただく機会があります。

下痢の原因によって、必要な検査や治療は異なります。そのため「下痢止めを飲んでいる間はよくなるから」と様子を見続けるのではなく、症状を繰り返している場合には原因を調べることが大切です。

この記事では、犬や猫の慢性腸症について、IBDとの関係や症状、検査、食事療法、近年注目されている腸内環境を意識した治療までわかりやすく解説します。


■目次
1.慢性腸症とは?
2.慢性腸症ではどのような症状が表れる?
3.下痢が続く原因は慢性腸症だけではない
4.慢性腸症ではどのような検査をする?
5.慢性腸症では食事の見直しも大切
6.抗菌薬だけに頼らず「腸内環境」にも目を向けた治療
7.下痢が治らない・繰り返す場合の受診の目安とは?
8.まとめ|長引く下痢は原因を調べることが大切


慢性腸症とは?

下痢や嘔吐が長く続く場合に考えられる病気のひとつが「慢性腸症」です。

慢性腸症とは、下痢や嘔吐などの消化器症状が長期間続く病気の総称です。

ただし、同じような症状は寄生虫や感染症、膵臓・肝臓の病気などでも表れます。そのため、これらの病気が隠れていないか確認しながら診断を進めます。

慢性腸症にはいくつかのタイプがあります。食事の変更によって症状の改善がみられるタイプもあれば、腸の炎症を抑える薬などによる治療が必要になるタイプもあります。

また、慢性腸症について調べていると「IBD(炎症性腸疾患)」という言葉を目にする飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

IBDは、腸の粘膜に慢性的な炎症がみられ、下痢や嘔吐などの消化器症状が続く病気です。現在では、慢性的な消化器症状をすべてIBDとするのではなく、検査結果や食事・治療への反応などを確認しながら、慢性腸症として分類していく考え方が用いられています。


慢性腸症ではどのような症状が表れる?

慢性腸症では、下痢や軟便をはじめとした消化器症状が長く続いたり、よくなったり悪くなったりを繰り返したりするのが特徴です。

主に、次のような症状が表れる場合があります。

・下痢や軟便が続く
・下痢を繰り返す
・排便回数が増える
・便に粘液や血液が混じる
・嘔吐を繰り返す
・食欲が低下する
・体重が減少する

ただし、症状の種類や程度は犬や猫によって異なります。下痢や嘔吐が目立つケースがある一方で、元気や食欲は普段と変わらず、軟便だけが長く続く場合もあります。

そのため「元気があるから大丈夫」と判断するのではなく、便の異常が長引いている、あるいは何度も繰り返している場合には、一度動物病院へ相談しましょう。


下痢が続く原因は慢性腸症だけではない

犬や猫の下痢にはさまざまな原因があるため、便の状態だけで慢性腸症かどうかを判断することはできません。

長引く下痢の原因として、例えば次のようなものが考えられます。

◆寄生虫
寄生虫に感染すると、腸が刺激されて下痢や軟便が表れる場合があります。

◆細菌やウイルスによる感染症
細菌やウイルスへの感染によって腸に炎症が起こり、下痢や嘔吐などが表れることがあります。

◆食事による影響
食べ慣れないものを口にした場合や、食事に含まれる成分が体質に合わない場合などに、下痢が表れることがあります。

◆腸以外の病気
膵臓や肝臓などの病気が影響し、下痢などの消化器症状が表れる場合もあります。

◆消化管の腫瘍
腸などに腫瘍ができることで、慢性的な下痢や嘔吐、食欲低下、体重減少などが表れることがあります。特に猫では、慢性腸症と消化管型リンパ腫で似た症状がみられる場合があるため、必要に応じて詳しい検査を行います。

犬や猫の消化管腫瘍についてより詳しく知りたい方はこちら

このように、同じ「下痢」という症状でも、背景にある原因はさまざまです。そのため、下痢が長引いている場合には症状だけで判断せず、原因を詳しく確認していくことが大切です。


慢性腸症ではどのような検査をする?

下痢が長引いている場合には、症状やこれまでの経過を確認したうえで、必要な検査を組み合わせて原因を調べていきます。

主に、次のような検査を行います。

<便検査>
便の中に寄生虫などがいないかを確認します。下痢の原因となる感染症などを調べるために行う検査です。

<血液検査>
貧血や炎症の有無、肝臓をはじめとした臓器の状態などを確認します。下痢が腸以外の病気によって起きていないかを調べるうえでも役立ちます。

<レントゲン検査>
お腹の中の臓器の位置や大きさ、異物の有無などを確認します。消化器症状を引き起こすほかの病気が隠れていないかを調べます。

<超音波検査>
超音波を使って、腸の厚さや動き、周囲の臓器などを確認します。レントゲン検査ではわかりにくい腸の壁の状態などを詳しく調べることができます。

<内視鏡検査、病理組織検査>
ほかの検査を行っても原因がはっきりしない場合や、下痢や嘔吐が長く続いている場合などに検討します。先端に小さなカメラが付いた細い器具を口や肛門から入れ、胃や腸の一部を内側から観察する検査です。

必要に応じて、内視鏡検査の際に胃や腸の粘膜を少量採取する「生検」も行います。採取した組織を顕微鏡で詳しく調べる「病理組織検査」によって、炎症の状態や腫瘍を疑う変化がないかなどを確認します。

当院では内視鏡検査に対応しており、必要に応じて生検を行い、病理組織検査の結果も踏まえて診断につなげています。

ただし、下痢をしているすべての犬や猫に、これらの検査を行うわけではありません。症状が続いている期間やこれまでの経過などを踏まえ、それぞれの状態に応じて必要な検査を検討します。


慢性腸症では食事の見直しも大切

慢性腸症の治療では、薬だけではなく、食事を見直すことも治療方法のひとつです。

慢性腸症の中には、特定の食材が症状に関係しているケースがあります。また、消化しやすい食事や食物繊維の量を調整した食事に変更すると、便の状態が改善する場合もあります。

ただし「お腹によさそうなフードなら何でもよい」というわけではありません。愛犬や愛猫がこれまで何を食べてきたか、どのような症状が表れているかなどによって、選択する食事は変わります。

例えば、次のような療法食を検討する場合があります。

<タンパク質を細かく分解した食事>
加水分解食」と呼ばれる療法食です。タンパク質をあらかじめ細かく分解してあり、食事に含まれるタンパク質への反応が疑われる場合などに使用を検討します。

<これまで食べた経験の少ない食材を使った食事>
新奇タンパク食」と呼ばれる食事です。これまで食べた経験の少ない種類の肉や魚などを使用し、特定の食材が症状に関係している可能性を調べる際などに選択します。

<消化しやすさに配慮した食事>
消化・吸収しやすいように栄養成分などを調整した食事です。犬や猫の症状や消化管の状態に合わせて選択します。

<食物繊維の量や種類を調整した食事>
下痢の状態によっては、食物繊維の量や種類を調整した食事を選択する場合があります。

食事療法では、決められたフードを一定期間続けながら、便の状態や嘔吐の有無、体重などの変化を確認します。

この期間におやつや人の食べ物、別のフードなどを与えると、食事を変更した結果を判断しにくくなる場合があります。そのため、自己判断でフードを次々に変更せず、獣医師と相談しながら進めましょう。


抗菌薬だけに頼らず「腸内環境」にも目を向けた治療

慢性腸症の治療では近年、症状を抑えるだけではなく、腸内環境にも目を向けて治療を考えるようになっています。

犬や猫の腸の中には、さまざまな種類の細菌が暮らしています。これらを「腸内細菌」といい、食べ物の消化や栄養の利用、腸の健康を保つ働きなどに関わっています。

慢性腸症の犬や猫では、この腸内細菌の種類や割合が変化している場合があります。

以前は、長引く下痢に対して抗菌薬を使用するケースが現在より多くみられました。しかし、抗菌薬は原因となる細菌だけではなく、腸内に暮らしているほかの細菌にも影響を与える可能性があります。

そのため現在は、慢性腸症だからといって一律に抗菌薬を使用するのではなく、それぞれの犬や猫に本当に必要なのかを考えたうえで使用を検討することが大切とされています。

もちろん、症状や原因によっては抗菌薬が必要になる場合もあります。大切なのは「抗菌薬を使わない」ことではなく、必要性を見極め、使用する量や期間、タイミングを検討することです。

さらに、食事療法とあわせて「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」を取り入れる場合もあります。

プロバイオティクスは、腸内環境の健康維持をサポートする微生物です。一方、プレバイオティクスは、腸内細菌の栄養源となる成分を指します。

ただし、慢性腸症の状態は犬や猫によって異なるため、すべてのケースで同じ治療を行うわけではありません。

当院でも、抗菌薬だけに頼るのではなく、食事や腸内環境への影響も考えながら、それぞれの状態に合わせて治療方法を検討しています


下痢が治らない・繰り返す場合の受診の目安とは?

犬や猫は、一時的に便が軟らかくなる場合があります。その後すぐに普段の便に戻り、元気や食欲にも変化がなければ、ご自宅で様子を見ながら経過を観察できるケースもあります。

一方、下痢や軟便が数日続いている場合や、一度よくなっても何度も繰り返す場合には、動物病院で原因を調べることが大切です。

特に、以下のような症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

・下痢とともに嘔吐を繰り返している
・食欲や元気が低下している
・体重が減ってきた
・血便がみられる

「薬を飲むとよくなるけれど、やめると再び下痢をする」という場合もご相談ください。薬によって一時的に症状が落ち着いていても、その背景にある原因が解決していない可能性があります。

受診時には、いつから下痢をしているのか、1日の排便回数、便の状態、食べているフード、これまで使用した薬などを伝えていただくと診断の手がかりになります。


まとめ|長引く下痢は原因を調べることが大切

犬や猫の下痢には、一時的な胃腸の不調から慢性腸症、腸以外の病気まで、さまざまな原因があります。

特に、下痢が何週間も続いている場合や、一度よくなっても繰り返す場合には「いつものお腹の不調」と考えて様子を見続けず、原因を調べることが大切です。

慢性腸症では、食事療法によって症状の改善がみられるケースがあるほか、状態によっては薬による治療が必要になります。詳しい検査が必要な場合には、内視鏡で胃や腸を観察し、採取した組織を調べることで診断につなげます。

さらに近年は、抗菌薬を一律に使用するのではなく、腸内環境への影響にも配慮しながら、その犬や猫に必要な治療を選択する考え方が重視されています。

当院では、長引く下痢や繰り返す下痢について、これまでの経過を丁寧に確認し、必要に応じて血液検査や画像検査、内視鏡検査などをご提案しています。食事や腸内環境にも目を向けながら、それぞれの犬や猫の状態に合わせて治療方法を検討しますので、愛犬・愛猫の下痢がなかなか治らない場合にはご相談ください。


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